口はA君で、目はBさんで、脳みそはワタシ

「最近話題の〜」やら「〇〇氏推薦の〜」やら日常生活を送る上で誰かのお墨付きがないとお金を出さない性分。

 

顔なしのこいつがああだと言って、名無しのあいつがこうだと言う。ネット上に溢れるエセ評論家たちのご意見に流されて、日々更新される伝言ゲームが繰り返されていく。その1プレイヤーになりきって、自分の好みをそいつらの好みに擦り合わせる。

 

他人と違う自分を演じ切るのに、どれほど個性を渇望したことか。

 

そもそも個性を求める姿勢こそが画一的であり、結局自分はいかに普遍的な人間で一般論を綺麗なぞって生きているのかを痛感させられる。

 

輪郭さえも見えないくせに、個性を見出そうとする自分が滑稽で情けなくなる。

 

餌を求める獰猛な動物のように、目をギラつかせて今日もネットを凝視する。

 

検索をかけたら、すぐにヒットして出てきそうな、くだらないワタシ。

 

今日は、世界のどんな人を演じきれば、深く息を吸えるのだろう。

 

コピーアンドペーストな人生

この世界には存在するのに、意味を持たないものがある。

朝6時24分に目が覚めて、二度寝する。起きると、短い針が8を、長い針は10を指す。この1時間と46分。時間は存在するのに、意味なんてない。二度寝したところで、ワタシの疲れが取れることも、苦しみが消えることもないから。

 

 

あー、今日もしたり顔して太陽がワタシを起こす。

 

はー、今日も目的を持ったふりを顔してスーツを着たサラリーマンが電車に揺られながら会社へ向かう。

 

もー、こんな見飽きた景色なのに、それ以上にワタシがワタシを見飽きてるから、この景色を意味もなくただ見つめている。

 

 

クラスの人気者と同じ文房具を買い、

 

店頭のマネキンが着ている服と同じ服を着て、

 

周りの人間と同じように映える写真をインスタに載せて、

 

偉そうな顔した「成功者」の生き方と同じように生きる。

 

どこかで見たことあるような、誰かが言ってたようなことをコピーしてワタシの人生にペーストする。

 

誰かの仮面を被ったワタシ。

 

「本物」なんて言葉が存在するが、意味なんてない。

 

本物ってなんだ?

 

本当のワタシって誰だ?

 

これを読んでるあなたは本物のあなたか?

 

存在はするくせに、意味を持たない「本物」という言葉なんて大っ嫌い。

 

コピーアンドペーストな人生を送り、そこに意味なんて一つもなく、だからと言って死ぬなんていう勇敢な行動も取れず、恨めしいほど無機質で自分勝手なワタシの人生について書く。